No.001 影山 卓也
【誰かのために行動する。福祉の仕事を“かっこいい”と思った】
―1.なぜ福祉の仕事を選びましたか?(現代福祉学部に入学した理由は?)―
中学生の頃にテレビの特集で「社会福祉士」が取り上げられていたことがきっかけです。その方が他人の生活を支える為に行動を起こしている姿を見て、純粋に“かっこいい”と思い、福祉の仕事に興味を持ち始めました。
(現代福祉学部に入学した理由は)僕は元々法政大学の附属高校に通っていたので内部進学する学部を選ぶことができました。様々な学部がありましたが、「この中だったら現福かな~」と、大きな決意というよりは軽い気持ちで、現代福祉学部に入学しました。
大学時代はガイドヘルパーや訪問介護の有償ボランティアなどに取り組みました。そこで出会った利用者さんとの関わりが単純に楽しいと感じ、自然と就職は福祉職にしようと決めていきました。
その中でも様々な取り組みを行い、広く介護業界を見ることができる福祉の人材派遣事業に興味を持ち、現在の職場に入職しました。
【派遣されるという働き方。広い視野で介護をみることができる】
― 2.あなたの仕事について教えてください ―
福祉の人材派遣会社で働いています。主な仕事は介護現場へ特定派遣社員として出向すること。もう一つは初任者研修など職員向けの研修を外販することです。
この仕事の魅力は多くの介護現場に派遣される分、幅広く介護の考え方に触れることができるということ。おかげで偏りなく広い視野で介護を見ることができると感じています。
ただ、現場からは“派遣=外部の人”という認識をされがち。それは時に疎外感を感じることもありますが、外部の人だからこそ、場にどっぷりと染まりきることなく客観的に現場を捉えられるとも考えています。
他の職員から「ここはどうしたらいいかな、他の施設ではどうだった?」と提言を求められることがあるのも、僕の立場だからこその強みだと思っています。
(仕事をする上で大切にしていることは)それぞれの派遣場所の空気感や流れをつかんで自分の知識や技術を柔軟に適応させていくこと。僕は相手のことを知ったり自分のことを伝えていくためにはお互いに話し合っていくしかない!と考えています。
とにかく好き嫌いをせずに色々な人と話してみる。このことを大切にして仕事には取り組んでいます。
【自分の考えがあるからこそ、自分を客観的に見ていく。】
― 3.大学での学びが仕事で活きていると思った瞬間 ―
仕事で大切な「様々な場や人の中に自分を適応させていく力」は大学時代に鍛えられたと思っています。まったく異なる環境で生活してきた同級生との出会いやボランティア活動を通じて、相手とのコミュニケーションのとり方についてよく考えるようになりました。
僕がコミュニケーションで大切にしていることは、相手のことを知るということです。僕は強く自分の考えを持っています。だから、客観的に自分を見直していかないと、いつの間にか相手の主張が僕の主張にすり替わってしまい、本当の思いが見えづらくなってしまう。
相手の気持ちや立場を知った上で、自分ができることとできないこと、したいことしたくないことを見定めていく必要があると思っています。
【3K、安い給料、重労働…?本当は介護ってすごい仕事!】
― 4.いま興味を持っていることやテーマ ―
「どうやったらこの業界は人気が出るのか」ということです。僕が現代福祉学部を第一志望として選んだとき、周りからとても珍しがられましたし、同じ学部の進学者は40人クラスのうち2人しかいませんでした。
また、介護の仕事をしていると「なんでわざわざ大学を卒業してまで?」とか「すごいね、えらいね」とよく言われます。
確かにイメージとして3Kや重労働といったものがあるのは事実です。しかし「なんでそんなことを思うのかな」ととても疑問に思っています。
原因として考えられるのは「介護=誰でもできる」と捉えられてしまっているところと、職員自身が仕事に対して「すごいことをしている」という自覚がないからかなと…。
しかし、実際に介護現場を見た他業界の人たちからは「あんなにトイレにいきたくないと言い切っていた利用者が、介護職員の声掛けや促しですんなりとトイレに向かっていくのを見て、すごい仕事だと思った」との声も上がっているそうです。
この業界が人気になるためには、まずは職員が自分の仕事に正確な評価を与えること、専門職としてのプライドを持つことではないかと思います。
【福祉をかっこいい仕事にしたい!】
― 5.今後の目標は? ―
かっこいいと書きましたが、福祉が他の業種と差別化されないようになってほしいとの願いがあります。
僕たちが就活生のとき、なぜか一般職か福祉職かという2択の選択肢がありました。なぜ福祉職が一般職から切り離されているのかが理解できなかったし、もっと言えばその2つには大きな格差があるようにも感じました。
これからの就活生には普通の仕事の一つとして福祉職を見てもらえるようにしていきたい。そのためにも「人材不足を解消するために、福祉の魅力を伝えていかなければいけない」という風潮、スタートから出遅れているような状況から早く脱したい。
そして、いいケアやサービスを各事業所で追及し、競争し合い、多くの人から評価してもらうといったワンステップ上の仕組みを作っていきたいと思います。