集い、対話の中で得られる ”気づき”
「この場所は貸し切りなのか?」
「メニューがないぞ?」
「お酒はいつ出てくるの?」
「食事は誰が作るの?」
「あの人誰?」
口には出さないが、参加者の表情が、そう私に伝えてきた。
席に座ると、キッチンに立つ私や、
せっせとお酒をつぐ、きいちメンバーを目で追ってしまう。
普通なら、おしぼりを持った店員さんが、
「先、お飲み物伺いますよ~」という一言から始まる。
きいちダイニングは、
どうすれば良いのか、何が起きるのか、全く想像できない。
”違和感“だらけだ。
そんな違和感は、彼らのやり取りから“自然”に変わっていった。
フロア異動をしてユニットリーダーになった、しょこたんが、
ある利用者様に対しての課題を、ふと投げかけた。
すると、同じ介護職ではなく、精神保健福祉士(PSW)のさいとぅーが反応した。
「それは〇〇?」
その反応対して、利用者様の情報やこれまでの対応など、
情報を伝えていく、しょこたん。
さらに、それに対して考えや質問を繰り返す、さいとぅー。
まさに、
現場レベルでの他職種連携といったところ!
結局、しょこたんが、その場で、自身が持つ課題に対して
「こうしよう!」という明確な答えを出せなかったが、
自分にない考えや課題に対してのアプローチの仕方を学ぶことが出来たのだろう。
帰りの電車で「とても勉強になった。」と言ったことは“本音”であると思う。
彼の中で、現場に持ち帰り、ユニットリーダーとしてどう行動していけば良いのか、
何か見つかったのだろう。
決してそれが直接的に課題解決に結びつかなくても、
彼の中で“気づき”があったのは事実であるから。
そんな中、キッチンで料理をしていた私には、
参加者、きいちメンバー、妻(笑)の、
なんとも言えない緊張と不安で覆われていた顔が、
その他職種連携による対話をきっかけに、
フッと、柔らかい表情になっていくのを感じた。
これが今回の参加者とデザインした、きいちダイニングだ!
どんな人だろう?
今どんな仕事をしているのだろう?
何が大変なのだろうか?
相手のことを知る。まずは知らないと。
当たり前の事だけれども、難しい。
でも、その為の言葉選びや、
質問のタイミングが、
必要とされる業界であることは間違いないと思う。
仕事でもなく、プライベートでもなく、居酒屋でもない。
きいちダイニングという空間で、
自然な会話から、その技術を学ぶことが出来る。
そして、その自然な会話から
自身の仕事につながる”気づき”が得られる。
「最近こういうことがあってさ~」と
話し始められる雰囲気を
大切に大切にしながら。
「これうまい!どうやって作ったの?」
「味付けが知りたい!」
「これで2000円は安いかも!」
「いや~楽しかった!」
そんな声があった。
何が出てくるかもわからない料理に期待を膨らませ、
「あっ、これあんま好きじゃないかも。でもこれ好きだわ~。」
ギャンブル的な要素があるこういうスタイルも
いつもと違ってちょっと良いのかも!
参加者一人一人が、
それぞれの満足感を得られる。
それが、きいちダイニング!
今後も定期的に開催していきますので、
ぜひ、足を運んで頂ければと思います!