No.016 あやかさん
【医療と心理士さんへの憧れを持つ】 1.どうして福祉の仕事を選びましたか。(法政現福に入学したきっかけは何ですか) 現福に入学したのは、高校生の時に臨床心理士になりたいと思ったことがきっかけです。そもそもは親戚に医療関係者が多いこともあり、将来は薬剤師になりたいと思っていました。 しかし、物理や化学が難しくて挫折(笑)。また友達からよく悩みを相談されていたこともあり、話を聞く仕事も面白そうだなと感じ、臨床心理士を目指そうと思いました。 臨床心理士になるには、大学院に行って資格を取らなければいけません。資格に結びつく大学を何校か受験し、合格したのが法政でした。有難いことに現福はド田舎キャンパス。私も田舎出身だったので、親近感を感じ嬉しく思いました。
将来の進路を考える上で影響受けたのは、大学3年生の時にボランティア先で出会った心理士さん。とてもいい人で、私の気持ちや考えを深掘りするように突っ込んで聞いてくれた。そのおかげで、自身のことを整理していくことができました。 心理士にとって大切なのは、自分の感性や感覚を自覚することだと思っています。心理士さんとの関わりは、自分のいい面や悪い面を振り返るいい機会になりました。同時に「こういう人になりたい、こういうところで働いてみたい」と思うようになりました。 正直なところ、対人援助職は責任重大な仕事でもあり、さらに院生時代に苦労したこともあったので「本当に自分にできるのかな」と進路決定を悩むこともありました。
それでも私には頑固なところがあるので、初志貫徹ではないですが目標を貫き通したいと思いました。 【人生の一端を担う責任。気持ちを推し量り根拠を持って伝える】 2.あなたの仕事について教えてください。 児童相談所と、児童精神科病院(共に非常勤)で働いています。児童相談所は知的障害の方が持つ療育手帳の検査を取る業務と育成相談。病院では保護者の相談を受けた上で、お子さんに対し、心理検査を実施する仕事をしています。 療育手帳は判定が難しく、該当するかしないかだけではなく該当時の区分を見極めなければなりません。また子どもの発達状況は変化しやすいため、何年かごとに検査をして区分を見直します。場合によっては療育手帳が非該当になることもなります。 根拠となる数字を得るために検査を実施しています。難しいのはその日のお子さんのコンディションや環境によって数字が左右されてしまうこと。単純な数字だけではなく、どうしてこの結果になったのか、深く考えることが大切と思います。 当然ながら、親御さんによって結果の受け取り方は変わります。療育手帳の更新によって、喜ぶ人もいるしサービスが変わってしまうのが困るという人もいる。
そのことを念頭におき、結果は慎重に根拠を持って伝えていかなければいけません。人生の一端を担っている責任があることを忘れてはいけないと思っています。 私が大切にしているのは、親御さんにお子さんの出来ているところはしっかりと伝えること。様々な考え方はあると思いますが、お子さんの良いところをそのままお伝えしたら、きっと親御さんも嬉しいのではないかと考えています。 児童精神科の病院は、求人の紹介を受けて入職しました。就職を決めた理由としては、先述した、医療への憧れを持っていたことが大きいです。 心理の世界では、常勤職に就く人もいれば、非常勤として様々な職場で掛け持ちして働く人もいます。 私の場合、ひとつの場所でじっくりと専門性を極めたいと思う気持ちと、色々な場所でどんどん新しいことを学んでいきたいという気持ちが半々。流れに身を任せてのらりくらりと今後も頑張っていけたらいいなと思っています。 【柔軟な発想や自問の大切さ。社会人になって気付いた後悔】 3.大学での学びが仕事で生きていると感じるのはどんなときですか。
実習で小学校に行った際、突然教室を飛び出す子に出会いました。その子に対し、やみくもに連れ戻すのではなく「廊下で勉強しようか」と提案をしたら、意外にも乗り気になった。その姿を見て、関わり方は自由でもいいのかなと思うようになりました。
また先生たちの多忙さを垣間見ることができました。学生のうちに社会人のリアルな大変さを感じることができたのは、とても良かったと思います。 あとは、もう少し勉強しておけばよかった。学生時代は、心理専攻なのに福祉や地域の授業を取らなければいけないことを不思議に思っていました。
しかし、仕事をしていく中で、法律やサービスなどの福祉的知識や地域特性などの知識がないとお客さんを次に繋げられない、問題解決に至らないということ痛感しています。これは学生のうちにはわからない観点でした。 ゼミでは、なんでも疑ってかかる姿勢が大事だと教わりました。気持ちは目に見えないしわかりにくいので、相手の様子や言葉の端々から思いを感じ取らないといけません。仕事でも、面接を振り返って「ここはなんでだろう。」と省みる時間をとても大切にしています。 【みんなが楽しく生きるには。障害に対する疑問】 4.いま興味を持っていることやテーマは何ですか。
楽しく生きるにはどうしたらいいか、ですね。仕事の中で発達障害の子と出会うことが多いのですが、周囲の子と同じことができない、人との関わりを柔軟に行うことができないといった子が多かった。
でも「それでもいいじゃん」と思うんですよ。集団の中に溶け込むためのアプローチは必要ですが、大事なのはみんなが楽しく生きるにはどうしたらいいか。そこの視点は忘れずにいたいと思っています。 あと、ひとつの問題に対し、それが先天的な障害の特性によるものなのか、その人を取り巻く環境の影響によるものなのか、判断することの難しさを痛感しています。
その人の困りごとの背景にどんなものがあるかによって、その後の方略が変わります。仕事を通して、相手のことを正しく理解するためにスキルアップすることの重要性を再確認させられました。 【公的機関をもっと気軽に使ってもらいたい】 5.今後の目標を教えてください。
相談して良かったと思う人を増やしたいです。 もっと気軽な気持ちでみんな相談してもいいんだよと伝えたい。1人で考え込んだり解決しようと思わずに、もっと専門機関に頼って欲しいと思うのです。
あとは私自身の生活の目標として、今後ももっと楽しく生きていきたいなと思っています。(笑) 【学生へ一言】 専門職の勉強も大事だけど、大学生は馬鹿騒ぎする経験も必要!なんでもやればいい!心理だけではなく福祉の勉強もしてね。いずれ自分に直結していきます。