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DESIGN FOR WELL-BEING

き い ち

No.009  永井 静里奈

【家業を継ぐ決意。大切な職員を守る施設を作りたい。】 1.どうして福祉の仕事を選びましたか。(法政現福に入学したきっかけは何ですか) 現福を選んだ理由は、家業を継ぐ為に、社会福祉士と精神保健福祉士の資格がほしいと思ったからです。 中学1年生の頃、実家が高齢者のデイサービス始めるようになりました。 職員やお客さんが増えていく様子を間近に見て、子どもながらに両親や職員さんはとても頑張っているし、とても技術の高い仕事をしているんだなと感じていました。 私は、介護は誰にでもできるものではない尊い仕事だと思っています。 例えば、他人に身体を見せることは誰でも多少なりとも抵抗を感じるはずなのに、お客さんは職員に対しては気持ちよく排泄介助などをさせてくれる。それはとてもすごい技術だと感じます。 一方で、素晴らしい職員さんが何人も離職していく姿も見てきました。様々な原因があったとは思いますが、介護という仕事自体、社会的な評価が低いことが一因だと思っています。 福祉は尊い仕事だと思っていた私にとって、それは大きな疑問でした。そして家業を継ぐのならば、大切な職員が辞めない施設を作ろうと決意しました。 まず考えたのは、経営者になる為には、現場を知らないといけないし、職員が付いてくるような資格を持っていなければいけないということ。 現場を知らないといけないと思ったのは、母がケアマネとして担当した家族に「実際に現場に入ったことがない人には付いてもらいたくない」と言われたことが大きいです。 資格に関しては、経営者としての立場に就いた時に何を持っているのがベストかと考えた末、社会福祉士を選択しました。 福祉の仕事ならば、実際に働きながらだったり、専門学校で資格は取ることができますが、私の場合は大学で専門的な勉強を突き詰めたいという思いが強かったです。

【「こういう仕事です」とは言い切れない現状】 2.あなたの仕事について教えてください。

家業を継ぐ前に、10年ほど自由な時間が欲しいと考えました。他の職場で勉強したり、新たな資格を取得したいと考えたからです。 私が経験したいものは3つあります。それは介護職、精神科病院、ケアマネです。 大学卒業後は、まず介護職員として長野の有料老人ホームに就職しました。決め手は、見学の時に利用者さんも職員も楽しそうだったこと。 また、職場のポリシーに、職員が利用者さんに対してありがとうと感謝の気持ちを伝えるというものがありました。 「この利用者さんにありがとうと伝える為に、何をしてもらえるか」と職員が一体となって考える姿に感動しました。

2つ目は精神科病院に就職。現在の職場になります。長野県で1番病床数が多く、措置入院も受け入れています。ここでなら様々な経験ができそうだと考え、入社を決めました。 いま精神保健福祉士として配置されていますが、一言で「こういう仕事です」と言い切れないのが現状です。 あえて言うのであれば、外来から入院へ、閉鎖病棟から開放病棟や療養施設、高齢者施設などに繋げる仕事をしています。 毎日入院や受診、行政からの電話応対や書類整理に追われる日々。余裕が作れた時に病棟を回り、入院されてる方々の様子を伺いに行きます。 職場にPSWは少なく、100人ずつ担当を持っている状況なので、1人1人とじっくりと関われる機会は少ないのが現状です。

【当事者の方との関わり方、意欲的に学ぶ姿勢】 3.大学での学びが仕事で生きていると感じるのはどんなときですか。 私の所属していた佐藤ゼミは、分野を決めることなく、なんでもやるゼミでした。 自分たちで課題を選択し、挑戦することができたので、色々なことを楽しみながら学ぶことができました。 よくある専門馬鹿になることなく、多くの知識の引き出しが出来たのは、このゼミの学びがあったからだと思っています。 また、PSW実習での経験が心に残っています。そこの作業所で出会った50代男性に「本当は子どもが欲しかったけれど、この病気は遺伝するから作らなかった」と言われました。 大学では遺伝しないと勉強していたのですが、否定して良いものでもない。「そうなんですか」と言っていいものでもない。 この方に対して返す答えに困ってしまったということを実習指導者に正直に伝えました。その時頂いた返答がとても印象に残っています。 「なにを言ってもいいし、困ったら受け止めるところでやめても良い。 その代わり、自分の発言や行動は意図を持ってやってね。そうすれば頭にしっかり刷り込まれるし次に繋がる」 その言葉を頂いてから、関わりひとつひとつに意図を持ち、簡単に受け流さないようにしようと思うようになりました。 また、いまは医療事務や看護師の資格が欲しいと思っています。電話応対をすると、相手は医療知識などわかる前提で話してきますが、こちら側は理解しきれていないことが多いからです。 このように当事者の方と関わる姿勢や、課題や興味を見つけ意欲的に勉強したいという気持ちは、大学で身についたと思っています。 【業務スキルの向上。自分の考えを捉え直していく】 4.いま興味を持っていることやテーマは何ですか。 まだ入職して半年なので目の前のことに必死。それでも看護師の知識、例えば薬の名前、病名や症状などは1から勉強しています。 あとはレセプト業務をもっと勉強していきたい。皆さん医療費などお金のことはシビアに見ています。持っている財産などで退院先が変わってしまうので、慎重に扱っていかなければいけません。 また目を引いてしまうのは、少年Aなどにもあった犯罪系のニュースです。私は福祉の仕事をしているけど、犯罪に対してはどうしても許容できない部分があります。 しかしながら、病院には放火などの罪を犯した方もいます。どこかで自分の考えを崩していかないといけないし、自分が譲れる範囲を明確にしていかないといけないのかなと思っています。 【笑顔と幸せが溢れる施設を作りたい】 5.今後の目標を教えてください。

自分に関わった人には幸せでいて欲しいです。どうしても人生の中で関われる人は限られていますが、その人たちにとって少しでもプラスな存在でいたい。 また、当分の目標はケアマネの資格を取ること。ケアマネで居宅を持てば、本人だけではなく家族全体を見ることができます。 純粋に自分が幸せにできる人数を増やすことができるのではないかと期待しています。 そうした経験を持った上で、7年後に「ここで働いてよかった、ここに来てよかった」と笑顔で溢れるような施設を作れたらいいなと思っています。

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